売価還元法による期末商品の評価
取扱品種の極めて多い業種における棚卸資産の評価には、売価還元法の適用が認められている。
売価還元法とは、期末商品の売価合計額に「原価率」を乗じて、期末商品の帳簿価額を算出する方法である(売価×原価率=原価)
売価還元法を適用する場合には、期末における商品の実地棚卸高を「売価で集計」する。
なお、売価還元法を採用している場合においても、期末における正味売却価額が帳簿価額よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とする。
► 売価還元法 (ケース1:通常の原価率)
1. 原価率の算式
期首商品棚卸高(原価)+当期商品仕入高(原価)/期首商品棚卸高(売価)+当期商品仕入高(原価)+原始値入額+{値上額−値上取消額}−{値下額−値下取消額}
2. 売価還元法における期末商品の評価
損益計算書における期末商品棚卸高(原価)は、期末商品帳簿棚卸高(売価)に原価率を乗じることによって求められる。
期末商品帳簿棚卸高(売価)は、原価率の算式の分母の合計値から当期の売上高を差し引くことによって、差額で求められる。
また、帳簿棚卸高(売価)と実地棚卸高(売価)との差額に原価率を乗ずることによって、棚卸減耗費(原価)が算定できる。
さらに、実地棚卸高について原価と正味売却価額を比較し、正味売却価額が原価よりも下落している場合には評価損を計上する。
< 期末商品に係る計算式 >
・ 期末商品棚卸高=帳簿棚卸高(売価)×原価率
・ 棚卸減耗費={帳簿棚卸高(売価)−実地棚卸高(売価)}×原価率
または、
・ 棚卸減耗費={帳簿棚卸高(売価)×原価率}−{実地棚卸高(売価)×原価率}
・ 商品=実地棚卸高(売価)×原価率 または 正味売却価額
・ 正味売却価額=実地棚卸高(売価)−見積販売直接経費
► 売価還元法 (ケース2:値下を除外した原価率)
値下額等が売価合計額に適切に反映されている場合には、値下額及び値下取消額を除外した売価還元法の原価率により求められた期末商品の帳簿価額は、収益性の低下に基づく簿価切下額を反映したものとみなすことができる。
1. 原価率の算式 (値下を除外した原価率)
期首商品棚卸高(原価)+当期商品仕入高(原価)/期首商品棚卸高(売価)+当期商品仕入高(原価)+原始値入額+{値上額−値上取消額}
ケース2の原価率の算式は、ケース1の原価率の算式に比して、値下を考慮しない分だけ、分母がケース1より大きく算出される。したがって原価率がより低く算出され、期末商品の帳簿価額はより低い金額となる。
2. 期末商品の評価
値下を除外した原価率により算出される期末商品の帳簿価額は、収益性の低下に基づく簿価切下額を反映したものとみなすことができる。したがって、評価損の額は直接認識されることはなく、その分が売上原価に自動的に算入される結果となる。