引当金
►引当金の意義
引当金とは、将来の資産の減少を合理的に見積り、その見積額のうち当期の負担に属する金額を当期の費用または損失(もしくは収益の減少)として計上するために設定される貸方項目です。
引当金は発生主義に基づいて当期の収益に対応する費用を当期に計上することを目的とするものです。
「企業会計原則注解」注18において、次の4つを引当金計上の要件としています。
1. 将来の特定の費用または損失であること
2. その発生が当期以前の事象に起因していること
3. その発生の可能性が高いこと
4. その金額を合理的に見積もることができること
►引当金の分類
引当金には、資産の部に記載される評価性引当金と負債の部に記載される負債性引当金とがあります。
このうち、評価性引当金は資産のマイナスを表すものであり、具体的には貸倒引当金が該当します。
►負債性引当金
1. 負債性引当金の意義
負債性引当金とは、負債の性格を有する引当金(評価性引当金)です。将来の支出額(もしくは収入減少額)のうち、当期の負担とすべき金額を当期の費用または損失(もしくは収益の減少)として計上するために設定される貸方項目です。
2. 負債性引当金の種類
負債性引当金には、債務性のある引当金と債務性のない引当金とがあります。債務性のある引当金は法的債務であり、債務性のない引当金は会計上の負債です。
►債務性のある引当金の具体例
| 退職給付引当金 | 就業規則等に基づく従業員への退職給付について、将来の退職給付のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上するときの貸方項目。 |
| 賞与引当金 | 次期に支払う従業員への賞与のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上するときの貸方項目。 |
| 製品保証引当金 | 当期に販売した製品(または完成引渡済みの工事)について、一定の無償修理保証をしている場合に、次期以降の修理支出のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上するときの貸方項目。 |
| 債務保証損失引当金 | 他者の債務保証を行っている場合に、保証による支出の可能性が高くなったときに、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上するときの貸方項目。 |
| 損害補償損失引当金 | 係争中の裁判について、損害賠償義務を負う可能性が高くなったときに、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上するときの貸方項目。 |
| 売上割戻引当金 | 当期の売上について、次期以降に行われる予定の売上割戻の金額を当期の収益の控除として計上するときの貸方項目。 |
| 返品調整引当金 | 当期の売上について、次期以降に行われる見込みの売上返品に含まれる利益額を当期の収益の控除として計上するときの貸方項目。 |
►債務性のない引当金の具体例
| 修繕引当金 | 有形固定資産について、次期以降の修繕支出のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上するときの貸方項目。 |
| 特別修繕引当金 | 有形固定資産について、10年ごとなどの大規模な修繕を行っている場合に、将来の修繕支出のうち、当期の負担に属する金額を当期の費用として計上するときの貸方項目。 |
(注) 債務保証損失引当金、損害補償損失引当金ついても債務性のない引当金と考える説もあります。